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『知床ブランド』で、天然サケマスの価値を高めたい

ウトロ漁協
遠藤真人さん(31歳)


遠藤さんの一年

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

漁船整備・編み入れ準備

 

ホタテ漁

マス定置網漁

 

 

秋鮭定置網漁

 

やり手営業マンからウトロの漁師へ



4時にウトロ港を発ち、船で1時間かけ定置漁場(下)に。
朝焼けをバックに知床半島が視界に広がってきます。
 地元を離れ社会人としての経験を積み、いずれ知床にもどり、地元の役に立ちたい。希望を抱き、真人さんが、ウトロを離れたのは十六歳の時でした。」

 北見の高校・札幌の大学に進み、大手インテリアメーカーに就職。百貨店でのイベントや展示即売会の企画を立て、高級絨毯を販売する仕事をこなしていました。不況の波が年々激しくなる中、ノルマを背負う営業の仕事は厳しく、それでも目標の数字をガムシャラに残してきました。

 しかし、予想を越える経済の悪化に、販売は思うようにいかず、突然飛び込ん来た「沖でケガをした父親の知らせ」に、「これが転機」と地元に戻る意志を固めたそうです。そして、ウトロに戻り、父親の恵治さんが経営する貳拾参号(にじゅうさんごう)漁業部に戻り、漁師の道を踏み出したのでした。

秋鮭定置網漁




手つかずの自然が残る知床で、10名の漁師が力をあわせ網を引き上げます。

不況下の営業で鍛えた、不屈の精神

 真人さんが働く定置網では、七・八月のカラフトマス漁と九月から十一月までの秋鮭漁が柱です。四月から六月までは、漁船や定置の修理、沖での玉付けなど網み入れの準備で本番に備えます。

 漁場は、半島の先から数えて四番目と五番目の二カ統。未開の自然が残る漁場近くの番屋には、夏休みといえば泊まりに出かけ、マスの網起こしの船に乗ったものでした。

 しかし、子供の頃の楽しみも、漁師の立場となると違います。漁師は年齢ではなく、実力がものをいう社会。「沖の仕事は体で覚えろ」の言葉通り、高校を卒業して漁師になった昔の仲間は動きが良く、飲み込みも早い。実力の差は歴然でした。その上、荒波の中での仕事では、漁師は『ここぞの時』の「根性」「意地」が半端じゃないと感じたそうです。ですが、あの厳しい時代に営業をやってきた自信が真人さんにはあります。「負けてたまるか」と自分に言い聞かせ、四年間、歯を食いしばりやってきました。

 この姿には、先輩漁師からも「良い若い者。まじめで、文句は決して言わない。どこの定置に乗っても務まる」と認められる存在になりました。ただ、本人だけは「秋鮭の網入れは、年一回しかチャンスがありません。四回の経験では、潮の流れ、波の状態を判断し、仕事を組み立てることはまだできません。」と控えめな評価です。


秋鮭は氷で冷やしたタンクへ入れ、港まで鮮度を保ちます。

外に出で感じる、知床の課題

今、真人さんは、知床の将来に目を向けています。知床の「野生の魅力」が戻る理由の一つでもあっただけに、地元の課題が目に映ったのです。

 「ウトロの遠音別川には、毎年、カラフトマスが遡上し、多くの観光客がその姿を見入っています。ですが、その魚をカラフトマスと知る人はほとんどなく、その上、自分達が資源を守ろうと、網を切り上げると、河口近くでは所狭しと釣り人が集まり、浜に腹を割かれた魚が捨てられている状態です。彼らを規制する方法は知床にはまだのです。一昨年、『なぜ彼らが、カラフトマスを釣るのか』と思い、120名くらの釣り人にアンケート調査を行いました。自分も釣りが大好きですから、釣り人を排除する考えはありませんが、釣り人に知床の自然や漁業者のことを理解してもらい、ここ「知床」にあったルールを作らなければならないと考えています。」

目標は、知床ブランドの創造

この日の水揚げは2ケ統で約20d。水揚げした秋鮭は、直ぐに1等・2等・傷・ピン(小サイズ)と選別され、規格別に販売されます。
 「漁師になって正解かどうか、まだ答えはでない」と言うものの、やりたい仕事に取り組め、自然の中で仕事が出来る喜びにかつて悩まされたストレスは全く無くなったそうです。ただ、このところの魚価の低迷から、漁業者自ら収入を増やす試みが必要と考え、少しずつ行動をおこすようになりました。
 「今年、ホテルとタイアップして、カラフトマスの販促に取り組みました。身はふっくらとして卵も美味しい魚です。ウトロはサケマスの産地でありながら、地元でのPRはまだまだ少ない。手つかずの河川が残り、遡上するサケやカラフトマスを熊やシマフクロウが食べる環境が残っている知床です。何とか『知床ブランド』を広めたいですね。まだ、賛同する仲間や青年部での活動ですが、色々な分やで少しずつでも成果をあげていきたいですね。それが、知床の自然を守ることにつながるのですから」
 このように話す、真人さんの言葉には、知床の後継者としての力強さが伝わってきます。




「野生のままの自然を守り、自然と人との共生」に取り組む、真人さんの活動は、
「漁師発!知床流氷ウォーク」のHPでもご覧になれます。  
知床の漁師発!知床流氷ウォーク http://www.muratasystem.or.jp/~r_walk/



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