北海道のさかな

北海道のたら

産地と旬

「鱈腹(たらふく)食べる」大食漢

1958年からアイスランドとイギリスとの間に起こったタラ戦争に象徴されるように、ヨーロッパでも非常に重要な水産資源であるたら。
日本でも室町時代から、江戸や京都で食べられ、口から内臓を取りだし、そこに塩を入れて運んだため、「腹を切らない」ということで特に武士に喜ばれたそうです。
大きな頭部と顎の下にある1本のひげ、上顎が下顎より前に出ているのが特徴の真だらは冷水性で、生息水温は2~4℃と低く、北海道周辺に多く分布しています。産卵は1年に1回、12月~翌3月に比較的浅い沿岸域に回遊して行います。口が大きく何でも食べる大食漢として知られ、「たらふく食べる」に「鱈腹」の字をあてるほどと言われています。

たらの産地
たらの産地

栄養

白身魚の中でもビタミンが豊富な真だら

冬が旬の真だらは、鮮魚は「タラちり」などの鍋料理の素材になります。身は柔らかく脂肪の少ない白身で、鍋もの以外にも、塩焼き、昆布しめ、ソテーやムニエル、フライなどに幅広く利用されます。身を干物にした「棒鱈」(ぼうだら)も様々な料理に使われます。
すけそうだらと同じく、まだらのオスの精巣も「白子」「タチ」「キク」「雲腸(くもわた)」などと呼ばれる人気の栄養食材です。「キク」と呼ばれるのは、房状になった外見がキクの花に似るためです。北海道では真だらの白子は真ダチ、すけそうだらの白子は助ダチと呼ばれ区別されます。
たらこと呼ばれるのは一般にすけとうだらの卵巣ですが、真だらの卵巣は柔らかくすけとうだらよりも大型でボリュームもあり、煮付けや焼き物にして食されます。 他にも肝臓から取り出した脂肪は肝油に用いられます。
淡白な味のたらは脂質が少ないため高齢者の食事や離乳食にも適しています。ビタミンA、D、Eが白身魚にしては多く、ビタミンDは、体内でカルシウムとリンの吸収を高め、血中でカルシウムとリンのバランスを調節してくれます。

たらの料理
栄養成分表
一般成分
エネルギー
(Kcal)
水分(g) タンパク質
(g)
脂質(g) 炭水化物
(g)
灰分(g)
まだら(生) 77.0 80.9 17.6 0.2 0.1 1.2
まだら(焼き) 109.0 72.8 25.2 0.2 0.2 1.6
白子 62.0 83.8 13.4 0.8 0.2 1.6
干しだら 317.0 18.5 73.2 0.8 0.1 7.4

「五訂日本食品標準成分表」より