浜通信 ひと・くらし

厚岸漁協 湿原産ミネラル豊かな厚岸湖のあさり漁

浜通信 ひと・くらし(1月) 厚岸漁協 湿原産ミネラル豊かな厚岸湖のあさり漁

湿原を縫うように流れ下り厚岸湖へ山の栄養を届けるベカンベウシ川水系。湿原由来の大自然のミネラルと凛と冷たい海水が良質のプランクトンを育み、あさりが美味しく大きく豊富に育つ奇跡が生まれた!

 平成最後となる1月中旬の厚岸大橋。外気温マイナス10℃。さらに強めの風が吹き付ける。体感温度はいったい何度になるのだろうか。
 手袋をつけないとたちまち指先の感覚がなくなる。スマホのバッテリーも一瞬でなくなる。そんな極寒の湖の中央に目をやると、驚くことに舟から降りて湖の中に股下近くまで浸かりながら作業をしている漁師さんの姿が見える。
 これが北海道一のあさりの生産量を誇る厚岸湖のあさり漁だ……。
 厚岸大橋を境に湾の奥側を厚岸湖、太平洋側を厚岸湾と呼んでいるが、その厚岸湖の奥側はどんどん結氷し始めている。
 そのような過酷な状況の湖のほぼ中央付近にアンカーで固定された舟。その舟の脇にまさかと思うが人の影。漁師さんだ。別の船で静かに近づくと、なるほど水深は浅いようだ。確かに立つことが出来る水深とはいえ、湖面が凍り始めている極寒の湖にいくら防寒胴付き長靴、防寒防水手袋で身を包んだとしても、相当身体に堪える状況だ。漁師さんはその中でじょれんと呼ばれるあさりを掘るための専用漁具を手に湖に立っている。そしてそのじょれんで湖底を掘る。全身を使い、熊手のようなじょれんを湖底に差し込むようにして足元まで引き込む。それを数度繰り返し、あさりがたまったら潮上に向かってじょれんを揺すり、中のあさりを洗う。そしてある程度汚れを落とした後、水中にある網カゴにあさりを入れてストックする。
 そのストックがいっぱいになると舟に積み込み港へ戻る。
 港に着くとすぐにあさりをクレーンで陸に上げ、かごに入れられた後しっかり洗浄する。洗浄し終えたあさりは選別台の上に広げられ、目にも止まらない速さでカラの貝やゴミがとり除かれ、さらに色の良し悪しやサイズで仕分けられていく。
 仕分けられたあさりは市場へ運ばれて計量・出荷となる。
 ここ厚岸湖のあさり漁はあさりの産卵期の夏季7.8月の禁漁期を除いて周年漁獲されているが、生産量は北海道一、その身質も有数の産地だ。とくに厚岸湖のミネラル豊富な海域で育つため、大柄で濃厚、さらに歯ごたえも抜群だ!
 しかし、夏季を除き周年漁獲されているということは、この季節のように想像を絶するような過酷な中で漁が行われていることもあるということだ。また、漁場は漁師さん各々に区画分けされており、代々受け継がれているという。漁師さん方は各自のその漁場の砂泥に、山から買った砂を補充したりと常に整備もしている。
 なるほど、厚岸のあさりを一度でも口すると、あのぷりっぷりとした歯ごたえ、濃厚かつ旨味で溢れる味が忘れられなくなるのだが、あの美味しさはきっと、美味しいあさりを口にしてもらいたいという漁師さん方の熱い思いが注がれているからと感じた。

※下記の写真をクリックすると、それぞれの取材記を見ることができます。

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