なみまるくん

レポート第三弾

北海道の海で育まれる ほたて貝

浜通信番外編 北海道 魚めぐり

貝産王国北海道

ほたて、ほっき、牡蠣、つぶ、しじみなど、たくさんの貝類が北海道を囲む豊かな海で育ち、水揚げされている。海といっても地域によって特色があり、漁獲する時期や方法も様々だ。流氷と共に運ばれるプランクトンが栄養の源となっているオホーツクエリア、複数の海流が流れこむ道南エリアや山が海を豊かにしている日高エリアなど。特色ある海が北海道を囲み水産資源をはぐくんでいる。
各地域の特性を活かした漁業によって生まれたのが、オホーツク海や噴火湾のほたてや、釧路エリアの牡蠣、日高の真つぶ、太平洋エリアのほっき貝、網走のあさりや天塩のしじみなどで、今では地域の特産物になっているものが多い。北海道は春夏秋冬いずれの季節も貝類が水揚げされている"貝産"王国だ。

かき ほっき つぶ しじみ

王国の人気者

北海道で獲れる貝類はたくさんあるが、その中でも漁獲量と人気でトップクラスなのが、扇型の殻の中心に大きな貝柱を持つプリプリのほたてだろう。生のお刺身で食べるのはもちろん、殻のまま焼いたり、バターで炒めたり、出汁としても食される万能食材。いつも私たちの家庭の食卓に並んでいる。しかし、過去を振り返ると昭和初期、過剰漁獲により水揚げ量が激減してしまいます。そこで将来に旦り、安定した漁業とするべく、稚貝の採苗から増養殖に取り組む、育てる漁業をスタートさせたのです。漁師さんたちの取り組みがあったからこそ、2020年には40万トン台の水揚げがあり、現在では北海道が全国の約8割以上を水揚げする、漁獲量日本一となっている。

ほたて 漁の様子

育てる海の貝産資源

ほたての漁業は稚貝をカゴに入れロープで繋ぎ、海中に吊るして育てる垂下式と畑のように手入れをした海中に稚貝を放流する地まき式があります。垂下式は主に噴火湾やサロマ湖で行われ、ほたての成長にあわせて何度も手を掛けながら1~2年かけてゆっくり成長させる。
もうひとつの地まき式は、主にオホーツク海や根室地区で行われています。常呂エリアでは約1年かけて4cmほどに育てられた稚貝を漁場を4つの海区に分けて1年ずつ放流し、じっくりと育て4年目に漁獲している。海に囲まれた北海道は豊かな漁場ではあるが、それに頼るだけではなく、漁師さんの計画的な資源保護や漁場造成によって、継続的な漁業へとつなげている。
漁業者による昔からの資源保護、環境対策こそが、現在の国連が推奨するSDGsの項目の「海の豊かさを守ろう」なのだ。だからこそ、北海道はこれからも美味しい貝類を味わえる最強の貝の王国だろう。

漁の様子