産直ネットショップ
北海道の秋鮭いくら
北海道のほたて
北海道のこんぶ
系統ブランド資材商品カタログ

浜通信ひと・くらし

海明けのオホーツク 毛ガニ漁
明けのオホーツク 毛ガニ漁
オホーツク海から流氷が消え去る“海明け”を待ちわびて、操業をスタートする宗谷の毛ガニかご漁。3月下旬、初水揚げに沸く早春の枝幸漁港を訪ねてみた。

オホーツク海沿岸北部に位置する枝幸町は、毛ガニの漁獲量日本一を誇る港町。
午前4時過ぎ――。まだ濃い闇に包まれた枝幸漁港から煌々とライトを灯した何隻もの毛ガニ漁船が、沖へ向かってゆく。流氷に閉ざされた冬の間、漁船を操業できないオホーツクのカニ漁師にとって、3月下旬の初水揚げは待望の日。沖を目指す漁師たちの顔には、期待と不安とが入り混じっている。
早春とはいえ、残雪の漁港を吹き抜ける潮風は、まだまだ冷たい。
すっかり日が昇り切った昼下がり、1隻、また1隻と、漁船が帰港すると、それまで静寂を守っていた漁港の雰囲気は一変。瞬く間に活気づく。漁船が停泊すると同時にトラックが横付けされ、漁師や作業員が一体となって、ぎっしりと毛ガニが詰まった大きなプラスチック箱をすばやく荷台へ積み込む。「せーの!」「はいよ!」と威勢のよいかけ声を響かせて行われるスピーディーな運搬リレーは、ぴたりと息の合った、まさに職人技だ。
堂々たる体躯を誇る大ぶりの毛ガニは、箱から脱出するほど元気いっぱい。なかでも、流氷が去った直後のこの時期に水揚げされる“海明けの毛ガニ”は、流氷の下で動植物プランクトンをしっかり蓄えるため、引き締まった身と濃厚な味噌がぎっしり詰まっている。海明けのオホーツクでしか出合えない、極上の毛ガニなのだ。

  • <出航> 毛ガニ漁の朝は早い。日の出が昇る前に漁港を発ち、あらかじめカニかごを仕掛けておいた沖のポイントへ。水揚げした後は、次回の漁に向けて再びかご入れ作業を行う。帰港予定を尋ねたら、漁師のおじさんは「俺にもわからん。カニ次第だわ」と豪快に笑った。
  • <帰航> 今シーズン初の漁を終えて帰港するカニ漁船。水しぶき舞い上げて進む勇壮な姿は、どこか誇らしげだ。水揚げした毛ガニは、船上でオスとメスに分別され、メスや小型のオスは海へ返すという。オホーツクの豊かな恵みは、こうした資源保護によって守られている。
  • <雪に埋もれた漁船群> 流氷が去った3月下旬でも、漁港にはまだ冬の気配が色濃く残る。雪の上でじっと出番を待つのは、5月から漁が始まるミズダコの漁船群。その傍らには、船上に積もった雪をスコップでかき出す漁師の姿も…。枝幸の春はこれからますます活気を帯びてゆく。
  • <梵天の準備> 水揚げした毛ガニを市場へ運んだ後は、次回の漁に備えて漁具や道具を整える。先端に楕円形の膨らみが付いた不思議な形の長い棒は「梵天(ぼんてん)」と呼ばれる浮標。カニかごを仕掛ける際に目印として使用される重要な道具の一つだ。
  • <かごの中のカニ> 枝幸産の毛ガニは、甲羅の赤味が濃く、がっしりと体格がいい。箱の中でも太い手足をひっきりなしにワシワシと動かし、生命力旺盛だ。箱から脱出したカニを持ち上げてみると、見た目以上のずっしりとした重量感にびっくり!
  • <市場に並ぶカニ> 水揚げされた毛ガニは漁港内の枝幸魚地方卸売市場へ。漁船ごとに分別して並べられ、仲買人たちがサイズや身入り、味噌の量などを目利きした後、入札によって納入業者が決まる。これをすぐさま加工場へ運び、釜ゆですることで鮮度を保つ。
  • <計量> 市場に運ばれたカニ箱は、漁協のスタッフが1箱ずつ重量をチェックする。1箱の規格重量は約40㎏。目盛竿に沿ってすばやくおもりを移動させ、あっという間に数値を量る。
  • <カニかご> 漁に欠かせないカニかご。一本ののしに10m間隔で250個のかごが付いており、水深60~130mの漁場約3kmに渡って設置される。稚ガニ保護のため、かご網の目合いは3寸8分(11.5cm)以上と定められているそう。
  • <脱走するカニ> 運搬用の箱にはカニが飛び出さないよう、それぞれ布でふたをするが、元気のいいカニたちはあちこちで脱走をくわだてる……。
  • <カニちらし> 漁港近くで立ち寄った和食屋の「かに海鮮ちらし鮨」。たっぷり身の詰まった毛ガニの足をはじめ、タラバやズワイガニ、肉厚のホタテなどオホーツクの海の幸が満載! 漁期には、町内の各飲食店で、毛ガニの鉄砲汁やラーメン、丼物などさまざまなカニ料理を楽しめる。