

日本海オロロンラインの中間に位置する羽幌町は、年間千トン近いえびの漁獲量を誇る港町。6月に開催予定の「はぼろ甘エビまつり」をひかえて活気づく羽幌港を訪れました。
北海道のえびの漁獲量80%を占めるという甘えび(ホッコクアカエビ)は、日本海北部にある最大の漁場「武蔵堆」で漁獲され、羽幌の人々には南蛮えびと呼ばれている。
約1日がかりになる南蛮えび漁は、羽幌港から一斉に9隻の漁船が出港。季節や漁場のポイントにもよるが今時期は夜中に出港し、戻ってくるのは約20時間後。そしてまた、翌日の夜に再び出港することもあるというから驚きだ。
港を訪れたのは、天気が良く風の穏やかな5月上旬だった。こんな天候のよい日は南蛮えびの大漁を想像していたが、その日はいつもと様子が違ったようだ。戻ってきた漁師の顔は険しく、話してくれたのは自然を相手にしている仕事の難しさだった。時化で出港できず漁が出来ないことはあるが、今回は出港したのに南蛮えびがほとんど揚がらなかったのだ。こんなことは1、2年に1回あるかないかだという。理由を尋ねると「漁は天候だけじゃない、自然相手だからしょうがない」と海で働く漁師らしい潔い返事に納得させられる。
水揚げされたばかりのえびは透き通り、鮮やかな朱色をしている。日本海の荒波の中で豊富な餌を食べているため、甘くてプリプリとした食感が特徴の羽幌の南蛮えびは、全国的にも高い評価をうけている。