えりも町庶野地区の人たちは“やなぎだこ”のことを“ぽんたこ”と呼んでいる。「名前の由来はわからないが、寒い季節のぽんたこのうまさは絶品!」と地元漁師さん。味よし、歯ごたえ良しの、庶野地区自慢のぽんたこだ。
北海道東南端、えりも町の東側に位置する庶野地区。日高山脈から太平洋へ流れ込む豊な資源が、かにやつぶ貝、すけそうだら、たこなどの海産物を良質に育てている。その中でも極寒時期に獲れる「やなぎだこ=ぽんたこ」は、身がひきしまり、美味さがたっぷりだ。
ぽんたこの漁は餌を使わない、伝統的な空釣り縄漁。フック型をした人差し指サイズの針を仕掛けにして、海中に張り巡らせている。ザルと呼ばれる仕掛けに100本の針をくくりつけて、さらにそのザルを70枚繋げて、長さ約2kmのロープの仕掛けが出来あがる。なんと7000本の針! その仕掛けのロープを各漁師さんが70本持っているのだ。庶野エリアでタコ漁の操業をしているのは6隻。それぞれの漁師さんが決まった漁場を持ち、水深60〜150メートルの泥場に生息するぽんたこを獲るために仕掛けている。庶野の海の中には仕掛けがいっぱい張り巡らされている。
ぽんたこの漁は寒さが強くなる1月からスタート。約1ヶ月前に仕掛けたロープを1日に2,3本水揚げしている。2月の海の水温は約0度となり、たこの体は寒さで身がひきしまり、うまさが増す。さらに、たこは雑食なので庶野地区の海で育つかにやつぶやたらなどを食する美食家だ。庶野のたこが美味しいのは、豊かな資源に恵まれて美味しい餌を食べているからだろう。
地元の漁師さんにオススメの食べ方を聞くと、1、2月のみに食べることができる、たこの卵「まんま」を教えてくれた。鮮度がすぐに落ちてしまうので、あまり流通していないらしいが、濃厚な旨味があり、刺身やかまぼこにすると最高の珍味となるらしい。1年中食べることができるたこだが、今時期の寒さならではのうまさを味わって欲しいと漁師さんはいう。漁師さん、お墨付きの冬のぽんたこだ。