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早春にクライマックスを迎える 内浦湾のほたて漁
早春にクライマックスを迎える 内浦湾のほたて漁
全国No.1の水揚げ量を誇る北海道のほたて漁。なかでも北海道の南西部、渡島半島にぐるりと囲まれて水をたたえる内浦湾(噴火湾)は、古くから養殖漁業が盛んで、道内屈指の主要産地として知られている。水揚げ作業の大詰めを迎え、活気づく内浦湾沿岸の虻田漁港を訪ねてみた。

北海道におけるほたての養殖漁業は、大きく分けて2つの方法がある。1年育てた稚貝を海に放し、海底で2~4年成長させて漁獲する「地撒(じま)き式」と、栽苗から出荷までを海中に張ったロープに吊るして養殖する「垂下(すいか)式」だ。内浦湾で行われているのは、後者の「垂下式」で、水揚げ作業はほたてが卵を持つ11月から3月までが最盛期だが、今シーズンは時化が多く、取材に訪れた4月上旬にその大詰めを迎えていた。
有珠山の裾野に位置する洞爺湖町の虻田漁港に到着したのは午前4時過ぎ。辺りはまだ夜の闇に包まれているものの、船着き場にはすでに何隻もの漁船が停泊し、煌々と光るライトのもとで陸揚げ作業が行われている。船上に積まれた大量のほたては、巨大な網袋に収容されクレーンで吊り上げて、いったん作業台へ。そこからベルトコンベアー式の洗浄機で付着物などを取り除いた後、回転式ドラムの選別機や手作業でサイズを振り分けていく。次々とベルトコンベアーで運ばれてくるほたては、素人の目にはどれも同じに見えるが、浜のお母さんたちは、それを瞬時に見極め、慣れた手つきで次々と振り分ける。4月上旬とはいえ、早朝の漁港は、吐く息が白くなるほどまだ寒い。まして氷点下が続く厳冬期には、想像をはるかに超える厳しい作業に違いない。選別作業がスタートして数時間後には、運搬用のトラックの荷台にきれいに洗浄された選別済みのほたてが山積みになった。選別作業が終わったほたては、漁港内にある「いぶり噴火湾漁業協同組合」の集荷場へ運ばれ、計量した後、各地の加工場などへ出荷される。
“養殖”と聞くと、給餌で育てるイメージがあるかもしれないが、内浦湾では、周囲の山々や太平洋から注ぎ込む天然のプランクトンが栄養源。自然の恵みで育つほたては、プリッと弾力があり、滋味豊かな甘みがある。ロープに吊るして海中で成長させるため、砂がみがなく、砂出しの必要もない。取材時に漁師さんからいただいたほたてを、自宅でさっそくさばいてみると、つややかな貝柱が現れた。プリッと新鮮な歯応えと、とろけるような甘さが口に広がり、塩もみしたヒモの刺身もコリコリして何とも美味!
冬から続いた水揚げ作業が終了した後は、一息つく間もなく、採苗器を養殖施設に垂下する作業がスタート。その後も、数ミリに成長した稚貝を採取し、カゴに収容して再び垂下する分散作業、稚貝の成長に合わせて徐々に収容数を減らして調整する中間育成が続き、最終段階としてほたての耳状部に穴をあけ、紐でロープに固定し、耳吊り(本養成)作業を終えるまで、養殖作業は延々と続く――。

  • <ほたての選別作業> 陸揚げしたほたての洗浄と選別作業は、冷たい潮風が吹き抜ける漁港で、夜明け前から何時間も続く。選別機が活躍しているが、細かい分別は人の手に頼るところが大きい
  • <回転式ドラムの選別機> 穴の開いた回転式ドラムの選別機でほたての殻の付着物を洗浄しながら、規格外の小さなサイズを取り除いていく
  • <規格外のほたてを間引く> 回転式ドラムの選別機ではじき出された規格外の小さなほたてを、専用の道具を使って別のカゴにすばやく入れる
  • <トラックの荷台へ> 洗浄・選別を終えたほたては、ベルトコンベアーでトラックの荷台へ次々と積み込まれ、漁港内の集荷所へ運ばれる
  • <浜のお母さん> 選別作業の合い間、カメラに向かって笑顔を見せてくれた浜のお母さん。長年、内浦湾のほたて漁を支えてきた縁の下の力持ちだ
  • <ほたてアップ> 虻田漁港で水揚げされるのは、おもに2年もの。直径9㎝、8㎝、それ以下のサイズと3タイプに分別し、出荷される
  • <漁船の帰港> 沖合の養殖施設までは漁港から船で1時間~1時間半ほど。深夜に出港して水揚げ作業を行い、それぞれ午前4時~6時ごろに帰港する
  • <集荷場の荷受け> 漁港内にある「いぶり噴火湾漁業協同組合」の巨大な集荷場。選別したほたてを漁業者ごとに計量した後、別のトラックの荷台へ移し換えて出荷される
  • <漁港全景> 近くの高台から見た虻田漁港。周辺は約7000年前の有珠山の噴火による噴出物が海にせり出してできた地形で、岬状に突出した部分の影に漁港がある
  • <漁港全景> 近くの高台から見た虻田漁港。周辺は約7000年前の有珠山の噴火による噴出物が海にせり出してできた地形で、岬状に突出した部分の影に漁港がある