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日本一の水揚げ量を誇る ほたて漁
日本一の水揚げ量を誇る ほたて漁
宗谷のオホーツク沿岸に位置する猿払村は、一日約450tの水揚げ量を誇るほたての一大生産地だ。宗谷海峡から運ばれる豊富なプランクトンに恵まれた漁場で、“育てて獲る”ほたて漁に取り組む漁業者たち。最盛期を迎え、ますます活気づく、夏の浜鬼志別漁港を訪ねた。

日本最北端の宗谷岬から南下すること約30㎞。オホーツク沿岸に位置する日本最北の村・猿払は、水揚げ量日本一を誇るほたての町だ。ほたて漁の歴史は明治期までさかのぼり、道内屈指の好漁場として発展してきたが、無秩序な乱獲によって、水産資源が減少し、一時は衰退の危機に陥った。そこで地元の漁師たちは「猿払の海にほたてを復活させなければ!」と立ち上がり、村ぐるみで“育てて獲る漁業”に取り組んだ。そして昭和46年、日本で初めてほたて稚貝の大規模放流を成功させて以来、管理型漁業を実践し続けてきた。
ほたて漁は貝柱がぷっくり大きく育つ6~10月頃が最盛期。朝7時、水揚げで活気づく浜鬼志別漁港を訪れると、大漁のほたてを積んだ漁船が続々と帰港してきた。猿払沿岸のオホーツク海は潮の流れが早く、宗谷海峡から栄養豊富なプランクトンがたっぷり運ばれてくる好漁場。さらに漁に適した遠浅で、海底に細かい砂利が広がり、ほたてが生長しやすい環境に恵まれている。1年かけて海中で育てた稚貝をここに放流し、4年間で10~13㎝ほどに育てるという。その間、欠かせないのが、漁場の見回りをする資源調査。順調に成長しているか、実際にほたてを採り上げて確認する作業は、年間約500回にものぼる。
漁港で水揚げされたほたては、トラックの荷台に山積みにされ、村内にある8か所の加工場へ運ばれ、冷凍貝柱や干し貝柱などに加工される。干し貝柱の加工場では、漁港直送のほたてを新鮮なうちに巨大なスチーム機で蒸し上げ、手作業で丁寧にウロやミミなどを取り除いた後、細かく塩分濃度が設定された湯で味を調整し、乾燥の工程へ。ほんのり塩味が付いたゆでたてのほたては、プリッとした食感で、とにかく甘みが強い!とろりと甘い刺身も格別だが、これもまた目からうろこのおいしさだ。天気の良い日は浜風が香る屋外で天日干しに。じっくりゆっくり乾燥と熟成を繰り返し、干し貝柱の商品として出荷するまでに1か月も要するという。完成した干し貝柱はつやつやと光沢があり、一粒いただくと、凝縮された濃厚なうま味が口の中にじんわりと広がった。5年間かけて漁師たちが大切に育てたほたての価値をさらに高めるバトンリレー。猿払には、そんな“ほたてへの愛”があふれている。

  • <ほたて漁の袋網> オホーツク海のほたて漁は、八尺(はっしゃく)と呼ばれる熊手付きの袋網を使用。これで海底を曳き回し、一度に大量のほたてを引き揚げる
  • <漁船からトラックへ荷揚げ> 水揚げしたほたてはすぐさまトラックの荷台に積まれ、そのまま加工場へ。ほたて漁が行われるのは、流氷の接岸期などを除く年間約150日。34隻が操業している。
  • <貝柱の洗浄> 猿払村漁業協同組合が運営する干し貝柱の加工場。殻ごとスチーム機で蒸し上げた新鮮なほたては、洗浄や品質チェックを経て、次の工程へ
  • <貝柱のトリミング> ウロやミミなどを取り除き、貝柱をきれいに外すトリミング作業はスタッフの手作業によるもの。オートメーション化された加工場でも、人の目と手に頼るところは大きい
  • <ほたての塩ゆで作業> サイズごとに分別した貝柱は、塩分濃度の異なる湯の中へ。塩分の浸透率によって干し貝柱の仕上がりが左右されるため、重要な工程の一つだ
  • <貝柱の乾燥棚> 貝柱の中の水分を均一にとばすため、時間をかけてじっくり乾燥させることが味の決め手。乾燥棚には貝柱とともに加工作業スタート時の日付が記された稚貝の殻が並ぶ
  • <出荷を待つ干し貝柱> 乾燥と熟成を経てうま味が凝縮された干し貝柱は、木箱で大切に保管される。プラスチック製ではなく、木箱にこだわるのは、ほたての繊細な香りを損なわないため
  • <品質チェック> 出荷前の入念な品質チェックは、一つ一つ手作業で行われる。素人の目にはわからない、ごく小さなヒビ割れなども、熟練スタッフの厳しい目は見逃さない
  • <猿払村漁業協同組合の直売店> ほたて総合加工場に隣接する直売店では、冷凍貝柱や干し貝柱など各種加工品をはじめ、生の殻付きほたて(3㎏1300円)も販売している
  • <名物のホタテカレー> 「ホテルさるふつ ふるさとの家」内のレストランで味わえる名物・ホタテカレー(945円)。貝柱でダシをとったうま味たっぷりのルーとほたての身がおいしい相乗効果に!