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広尾漁協 十勝港 広尾のつぶかご漁
大海の底で育まれた甘味あふれる 広尾のつぶかご漁
北海道の特産物のひとつであるつぶ。大きさはもちろん、その身のしまり具合、そして旨味、全てが完璧だ。刺身から焼き、煮物まで全てが絶品の広尾のつぶ漁を訪ねた。

3月上旬、春の兆しがみえつつあるにも関わらず、港内に薄氷が張るほどしばれた早朝。前日の午後に出船し漁を終えてつぶを満載した船が帰港してくる。
岸壁に接岸した船は8時すぎからの荷揚げの準備をしながらしばらく待機する。早く揚げてしまうとつぶが凍ってしまうからだ。「つぶかご漁」の漁期は11月下旬から4月中旬まで続けられる。冬期間の厳しい漁だ。
「つぶかご漁」とは、漁場の海底へ餌を入れたつぶかご(1本のロープに10m間隔で100個ついている)を沈めておき、2~3日後に回収する漁だ。かごの上部が開いているので、餌につられて寄ってきたつぶがかごに入りこんでいるところを漁獲するという仕組みである。シンプルな手法ではあるが、ここは太平洋、潮も速く、うねりも大きい。しかも水深は90~100mライン。漁期は冬期である。指先がしびれる寒い中で、かごがついている1000mにもなるロープを海底100mへ沈める作業だけでも重労働であり、それを引き上げる作業になると、それは過酷以外の何ものでもない。
暗い中、船上へ引き上げたかごからつぶを取り出し、同時に種類と大きさによって分ける選別作業が行われる。種類にもよるが、つぶが大きく育つのに数年かかるため、資源保護の観点からも小さなものは放流する。
一方、引き上げたかごは洗浄し、餌を入れ、積み重ねておき、全てのかごを引き上げてから、次の漁場へ移動してかごを沈める。これら一連の作業に10時間ほどかかる。そして東の水平線が白々とするころに港を目指して引き上げてくる。
荷揚げは滑車で専用のかごへ入れられて岸壁で計量され、それから市場で出荷待ちとなる。
つぶと一言で言っても、実は種類が多く、ここでは「まつぶ」「とうだいつぶ」「けつぶ」の3つに大別される。
「まつぶ」とはエゾボラのことを指し、大型になり、煮る・焼くはもちろん、刺身が抜群に美味い。「とうだいつぶ」とは、ヒモマキバイなどのエゾバイ科のつぶを指し、煮物にするとそのワタに箸が止まらなく、大きいものは刺身も絶品だ。毛に覆われた見た目でなるほどと感じる「けつぶ」はアヤボラ。これも煮付けにするとたまらなく美味だ。つまり、つぶは全てが美味い。
冬期間の十勝港の朝はつぶの荷揚げで活気溢れている。

  • <帰港> 前日午後に出港した船が早朝戻ってきた。海面には薄氷が浮く。
  • <薄氷> 海面が穏やかな港内には氷がはっている。とにかく冷える中の作業だ。
  • <市場前> 8時、荷揚げがはじまる。周りにはまだ雪が残っている。春はもうすぐなのだが。
  • <つぶが満載> 船にはつぶが満載だ。
  • <荷揚げ> 滑車を使いつぶを船から降ろす。かなり重い。
  • <計量1> 下ろしたつぶはすぐに計量される。
  • <計量2> 計量を終えたつぶは専用のかごへ移され市場へ納められる。
  • <まつぶ> 和名はエゾボラ。大型のつぶで、刺身、焼き、煮物も絶品だ。
  • <とうだいつぶ> 和名ヒモマキバイの仲間。煮物にしたときのワタは絶品だ。
  • <けつぶ> 和名アヤボヤ。名前のとおり毛で覆われている。煮物が絶品だ。
  • <荷揚げ2> 計量を終えたつぶたちは市場へしばし保管のため運ばれる。