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釧路市東部漁協 三津浦地区 夏の日差しがつくる 長昆布漁
夏の日差しがつくる 長昆布漁
昆布は秋冬の寒い時期に種子から育ち、翌々年の2年目夏に成長したものを海から引き揚げる。釧路東部の三津浦地区で獲れる「長昆布」の漁期は7月と8月。漁師さんたちからは夏昆布とも呼ばれ、長いもので7メートル以上ある。砂利が敷き詰められた干場には、風と同じ方向にきれいに並べられた昆布の海が一面を埋める。北海道の短い夏を飾る、昆布漁の夏の風景だ。

昆布漁の操業はとても早い。あたりが薄明るくなった早朝5時、鳴り響くサイレンと同時に各自の船が漁場へと勢いよく動き始める。釧路市東部漁協の漁師さんは約100名。その中から選ばれた3名が旗揚人として、毎朝の天候と風と波の状況を見極めて、操業するかどうかを検討し、最後に地域の代表者が決定を下す。昆布漁の難しいところは、天候と波、それぞれの条件を想定しなくてはいけないところだ。船が小さいため、天気が良くても波が高ければ漁に出ることは難しい。しかし、波がなくても天気が悪いと、引き揚げた昆布を天日干しで乾かすことができない。海から引き揚げる作業と干す作業の二つを組み合わせて考えなくてはいけないので、今年7月で操業できた日数は、たったの8日。かなり条件は厳しい。限られた日数でいかに昆布を獲るかは、漁師さんの腕にかかっているのだ。
昆布漁はかなりの力作業。まず、5メートルほどあるカギ竿で引っ掛けて、一部分を海から船に引き上げる。そこから数本をロープで縛って掴み上げ、海底の岩場に張り付いている昆布の根を剥がし取る。私たちが普段手に取る昆布は乾燥しているため片手でも簡単に持ち上げられるが、海の中の昆布はそれとは全く違う。約5倍以上の重量で、ずっしり重たい。自分の体重をかけて岩場に貼り付いている昆布の根を剥がすため、持ち上げる時には船が傾きそうになるほどだ。この力作業に加えて、漁に必要なのが計画性だとベテランの昆布漁師さんはいう。漠然と漁に出るのではなく、どうやったら品質の良い昆布を多く獲ることが出来るかを考えなくてはいけない。品質が悪い昆布は乾燥した時に等級が低く、価格も悪いのだ。限られた漁期の中で、効率良く作業をするため、昆布の成長を邪魔する海の雑草「藻」を除去したり、光合成をして育つ昆布のために間引きをするなど、事前準備を怠らない。少しでも品質良く育つように工夫する、育てる漁業を行っているのだ。さらに夏の漁期が始まる前には、あらかじめ岩場についた昆布を確認して、質の良い昆布がどこで育っているかを把握して、漁に挑んでいる。漁が始まれば、迷っている暇はない。時間との戦いだ。仲の良い漁師同士であっても、良い漁場についてはもちろん他言無用。腕の良い漁師さんこそ、年間のスケジュールを組み漁に挑む。昆布漁は計画性が何よりも大切なのだ。

  • <漁の始まりを知らせる旗揚げサイレン> 早朝5時に各地域で鳴り響くサイレン。 サイレンと同時に、海で待機している昆布漁船は目当ての漁場へと向かう。
  • <昆布の水揚げ> 操業時間が限られている昆布漁は、いかに効率良く動くかが勝負。港までは戻らず、 海から崖の上にある干場へロープを使って水揚げして、また漁場へ向かう。
  • <ロープウェイ方式> 地区によって、水揚げ方法は様々だが、三津浦地区ではこれが定番。 ロープウェイを小さくした構造で、500kg以上ある昆布を安定して水揚げ。
  • <おか作業> 昆布漁の後半作業、干場へと移動。 まずはトラックにのせて、昆布を干しやすい場所へ持って行く。
  • <時間との勝負> 昆布同士がくっついてしまわないように、すぐに干場へ広げて干し始める。 風の流れをみながら、同じ方向へ、まっすぐと、重ならないように。
  • <ちいさな漁師さん> 子供たちは昆布の根切りをお手伝い。 毎年夏休み恒例のお手伝いなので、根を切る作業はお手のもの!
  • <丁寧で豪快な手作業> 片手に4、5本の昆布を持ち、重ならないように広げて干す作業。 簡単そうに行なっているが、素人ではこうは綺麗に並べられない。
  • <干し日和> 天気が良くて程よい風があると、あっという間に昆布が乾いていく。 この日は1トン以上の昆布が水揚げされていた。
  • <干し場の石> 昆布を干すときに、触れる面積が少なくなるように、角が尖った石を使用。 風通りが良く、天気の良い日は3,4時間ぐらいで乾き始める。
  • <天日干し> 干し始めて数時間経つと、水分がなくなり始める昆布。 石とくっつかないように、一本づつ剥がして並べていく。
  • <等級わけ> 1メートル5センチごとに切り分けられた昆布。 一本づつ手に取り、10段階以上ある等級へ分別されていく。